● 各問感想
第1問
普通の問題だったがA問4はやや難か。問題形式としては昨年の4から今年は2に減ったが、これほど変更するのなら大学入試センターには予告して欲しかった。
第2問
Aは例年よりも難しい印象だが、B, Cは例年通り易しい。
第3問
Aの難語句の意味を推測させる問題は、昨年に続いて良問であった。
第4問
ここは昨年よりもかなり易しい。特にBの飛行機のフライトを選択する問題は、正答率は高いだろう。
第5問
この問題は昨年から大きく変更になり、交通事故に関する2つの証言を元にした設問に答える形式であった。他の設問に比べれば難しいが、昨年の第5問よりはやや易しいと思う。
第6問
第6問は子供や若者という概念に関する文で、これで3年連続して物語ではなかった。残念である。問6のグループ分けは、選択肢4と迷うところだが、(1)と(2)が分かれているという観点ではなく、(6)と(7)が同一の論点というところで選ぶと簡単だっただろう。ところで(2)で言及されているアリエスは、私が若い頃に日本でもよく読まれた人で、私も「<子供>の誕生」という本を久しぶりに書棚から取りだして眺めてみた。
余談だが、第6問(3)のAs European nation-states emerged in the seventeenth century, the need for government officials—tax collectors, record keepers, and administrators—expanded. In France under Louis XIV, for example, increasing numbers of young people studied in the many academies created to meet this demand.のところは、さっぱり分からなかった。まず私の承知している常識では、nation-statesは17世紀には登場しない。またnation-statesの例がルイ14世統治下のフランスというのも疑問である。今Wikipediaを見てみたが、やはりMost theories see the nation state as a 19th-century European phenomenon, facilitated by developments such as mass literacy and the early mass media. However, historians also note the early emergence of a relatively unified state, and a sense of common identity, in Portugal and the Dutch Republic.とあった。何か私の勘違いだろうか。謎だ。
福田先生のセンター試験分析お見事です。
たぶん3予備校も前年との難易変化を設問ごとに数値化する作業を
複眼的に行っているのでしょう。
それをおひとりで正確に読み当てているとはさすがですね。
センター試験英語について基本的な疑問です。
第1問や第2問のような発音や会話?にまつわるような出題が
なぜ「リスニング」でなく「筆記」として出題されているのでしょうか?
他に筆記ならではの出題があると思うのですが。
もうひとつは根源的なことです。
そもそも大学入試で英語を独立した教科として問うべきなのでしょうか。
例えばセンター試験から英語という教科を廃止する。
国語を除いた他の全科目に20~30%程度の割合で
英語で書かれた設問を置く。
英語としては「リスニング」のみ残し、もっと会話、長文読解に重点を置く。
などというのは乱暴なやりかたでしょうか。
よく言われることですが、英語を学問としてとらえてしまうことに
日本の英語教育の弊害があるような気がします。
「英語で学ぶ」という発想をもっと採り入れることにより
現状打破のきっかけになるのではないでしょうか。
福田先生のご意見をお聞かせください。
by みとし (2010-01-18 17:29)
福田先生。センター講評も毎年恒例になってきましたね。
私も自分のブログで少し書いてみました。
ご笑覧下さい。
センターの後は、個別試験に向けて更なる指導が待っていることと思います。ご自愛下さい。
by 松井孝志 (2010-01-19 08:22)
みとしさん、コメントありがとうございます。平均点予想は、私の場合は単なる勘です!昨年もたまたま当たっただけで、数量的分析に基づいているわけではありません。各予備校は専門のプロジェクトが各設問ごとに分析しているとは思いますが、先生方の勘であることには違いありません。私の勘が今年も当たるかどうかは分かりませんが、1月19日午前8時現在で、河合117点、駿台120点、代ゼミ122点という予想なので、昨年の115点より多少アップするという点では各先生方の意見が一致している、という程度にお考えいただければと思います。19日か20日には、自己採点を元にしたより正確な予想平均点が発表になると思います。
さてセンター試験第1問第2問に関するご質問ですが、他に筆記ならではの出題があるというのは、まさにその通りです。発音を問いたいのであればスピーキングテストを課すべきで、それをペーパーの選択式で問うのは間違った方法だと思います。
入試から英語をはずすというのは乱暴な発想ではありません。実は英語教育の世界では時々議論されており、私も可能性はあると思います。英語で学ぶ発想は、これからますます重視されるようになるはずです。もちろん日本語による学習や授業を排除するのではなく、英語による授業や英語で書かれた教科書でも勉強できる、という力が、特に高等教育では求められるようになるのではないかと思います。
ご指摘の可能性以外にも、英語は資格試験とし、四技能(読む、書く、聴く、話す)がある一定レベルに到達すれば合格とし、あとは各学部や学科に応じた科目で合否を判断するという可能性があると思います。日本史を専攻する人も情報を英語で発信できれば、それはそれで素晴らしいことだとは思いますが、その学科の入試で英語と日本史の配点が同じというのは、どう考えても悪い冗談でしょう。
試験が変わると生徒の英語力が落ちるとか、英語を学ぶ人が減るという意見もあるでしょうし、私も英語を教えて禄を食む者の一人として、仕事がなくなったら困ります。しかし試験を突破すればよいという発想は間違っていますし、そのような動機がなくても勉強はすべきです。試験というのはそれ自体が目的化する危険性を必然的に孕んでおり、センター試験を含む大学入試ももちろんその危険性を免れません。それについては入試センターの専門家の先生方だけでなく、英語教育に携わる人間全員が意識し、場合によっては意見を表明していくべき論点であると思います。
ちょっと話が大きくなりました。陳謝。
福田哲哉
by craigfukuda (2010-01-19 08:45)
新参者にご丁寧なご回答ありがとうございます。
いただいたお返事、この上なく参考になりました。
おもしろい情報がありましたら
またご連絡します。
by みとし (2010-01-19 16:10)
はじめまして、東大受験を考えている者です。
今年の各予備校の東京大学足切りラインを見てみると、
どこも文科一類と文科二類はほとんど一緒でした。
そこで、 craigfukudaさんのホームページで予想足切りラインと
実際の足切りラインを比較したものを数年分拝見させていただいたのですが、文科一類と文科二類の予想足切りラインが離れている年は文科一類の実際の足切りラインが跳ね上がり、予想足切りラインが近い年は文科二類の実際の足切りラインが跳ね上がっているように思います。
そこから、今年は文科二類の実際の足切りラインが上がると予想(心配)しているのですが、センター720点で文科二類に出しても足切りされないでしょうか?
願書の締め切りが迫ってきているので、なるべく早くお答えいただけると
ありがたいです。
よろしくお願いします。
by taku (2010-01-30 18:10)
takuさん
「文科一類と文科二類の予想足切りラインが離れている年は文科一類の実際の足切りラインが跳ね上がり、予想足切りラインが近い年は文科二類の実際の足切りラインが跳ね上がっている」というのは、私も気づいていませんでした。そうかもしれません。
今年の文IIの予想足切りラインは、河合697、駿台695、代ゼミ693ですね。センターが720点だと最も高い河合と比較しても23点上回っていますから、過去のデータから言って切られる可能性は低いでしょう。
しかし懸念材料もあります。昨日は東大の出願4日目なのですが、昨年同日比での倍率は、以下のようになっています。ちなみに週末はこのデータは発表されません。
科類 2009 2010
文I 2.11から1.78
文II 1.72から1.87
文III 1.54から1.88
理i 1.09から1.78
理ii 1.44から2.02
理III 2.18から2.74
これを見てもはっきり分かるように、文Iだけが出願者数が伸びていません。もちろんこれからも多くの受験生が出願するはずなので予断を許しませんが、センター試験で失敗気味の生徒が第一段階選抜を気にするなら、文Iにする可能性もありでしょう。東大のサイトで数字を確認して、ぎりぎりで出願するという手もあります。
切り点は誰にも分かりませんし、私も責任は持てませんが、ご成功をお祈りします。
福田哲哉
by craigfukuda (2010-01-30 23:42)
いろいろとありがとうございます。
出願締切日まで待って、去年に比べて文二が急増することがなければ
文二に出願しようと思います。
by taku (2010-01-30 23:51)
何度もすいません。
やはり、今のところ文二が増えているようですね。
よろしければ参考にしたいのですが、昨年の出願締切日の前日時点での倍率のデータを教えていただけないでしょうか?
by taku (2010-02-01 17:08)
takuさん
文IIの昨年のデータをお伝えします。
2009年
2月2日 970(2.75倍)
2月3日 1121(3.18倍)
2月4日 1202(3.41倍)
2月5日 1205(3.41倍)
以上で確定です。締切も近づいて来ましたね。
by craigfukuda (2010-02-01 23:39)
ありがとうございます。
文一のデータも教えていただけると助かります。
by taku (2010-02-01 23:57)
文Iです。
2009年
2月2日 1293(3.22倍)
2月3日 1498(3.74倍)
2月4日 1640(4.09倍)
2月5日 1643(4.10倍)
by craigfukuda (2010-02-02 23:12)